柔軟な働き方の未来は、サイバーセキュリティにとっても大きなプラスとなります

本記事はTFIRに掲載された記事の転載であり、内容を更新しています。
「変化こそが唯一の不変である」と言われますが、2020年は世界中の人々にとって真の試練となりました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行は、私たちがどのように他者とつながるべきか、その本質を深く考えさせるきっかけとなりました。自己隔離やソーシャルディスタンスといった適応を私たちは余儀なくされました。普段からオンラインで多くの時間を過ごしているとはいえ、コミュニケーションや仕事において「それ以外の選択肢がない」という状況は、これまでとは全く異なる経験 です。それは悲劇であると同時に、ある種の目覚めでもありました。
多くのテック企業と同様、私たちにとって柔軟な働き方は新しいものではなく、在宅勤務は仕事の特典の一つです。2009年という「早い」時期から、私はベルギーにいながらシリコンバレーの企業でリモートワークをしていました。当時の技術は今とは比べものにならないほど未熟でしたが、それでも仕事は可能でした。しかし、今回のように全メンバーが当面の間、在宅勤務を余儀なくされる状況は、私たちにとっても大きな調整が必要でした。多くの企業が同様の決断を下しましたが、中にはリモートワーク体制の構築に十分な準備ができていなかった企業も少なくありません。
新しい働き方への不安や、わずかな不信感、あるいはリモートワークそのものへの懐疑心など、理由はさまざまでしょう。しかし、リモートワークに抵抗を示す企業は、優秀な人材の確保やグローバルな展開、そして率直に言って、時代の変化についていくという点で後れを取る傾向にあると私は感じています。現在の危機的状況下では、混沌とした経済情勢の中で事業を完全に停止させないために、リモートワーク体制を構築する以外に選択肢がない企業も多いのです。
この悲劇から得られる数少ない前向きな教訓があるとすれば、それは人々がデジタルワークフォースの利点と、物理的に離れていてもチームがつながり続けるための多様な方法を理解したことでしょう。そしてサイバーセキュリティ業界こそ、場所を選ばず、常時接続を前提としたアプローチによって真に飛躍できる分野なのです。
攻撃者はロックダウンなどしていません。彼らはこの危機を最大限に利用し、世界的なパニックや不安に乗じて医療施設へのサイバー攻撃を仕掛けています。このような状況下で、サイバー攻撃、特にランサムウェアの急増が見られるのは驚くことではありません。結局のところ、不安定な経済状況下で生き残るための盗み行為なのです。もちろん、それが許されるわけではありません。しかし、インターネット環境さえあれば、どこからでも働き、学び、サイバー攻撃に対抗できるという事実は変わりません。
未来は柔軟性にあります。私たち、そしてサイバーセキュリティ業界全体が、現在から未来にかけてどのように取り組むべきか、その指針を以下に示します。
どこからでもアクセス可能な製品は、普遍的で価値がある
強制的な隔離状況に置かれる以前から、グローバルチームは必要に応じて協力する方法を見つけなければなりませんでした。手頃な価格の電話会議が登場したのはローリング・ストーンズがデビューしたのと同じ1964年のことですが、当時の先駆者たちも、私たちが今日ビデオ通話で経験している「聞こえますか?」「いいえ、どうぞお先に」といったやり取りに悩まされていたに違いありません。
2020年現在、デジタル通信技術は数兆ドル規模のICT産業の巨大な一部となっており、クラウドネイティブ、モバイル、ソーシャルプラットフォームが主流となってレガシー技術を置き換えています。Slack、Zoom、Discordといったイノベーションは、特に職場において、かつてないほど私たちを密接につないでいます。そして、コミュニケーションはその物語のほんの一面に過ぎません。
インターネット接続さえあればどこからでもオンデマンドで利用でき、接続、エンターテインメント、生産性といった基本的なニーズを満たすデジタルサービスは、私たちの柔軟な未来の一部です。私たち自身が顧客としてハイパーパーソナライゼーションを求めるように、企業としても、どこからアクセスされても妥協のない品質で、パーソナルなデジタル体験を提供することを目指すべきです。
あらゆる業界で日々、業務を効率化し、既存の生活や働き方を一変させ、自分たちでも気づいていなかった問題を解決するためのWebアプリケーションが開発されています。サイバーセキュリティのツールやトレーニングは、ユーザーにとって魅力的かつ有益であり、ビジネスに具体的な利益をもたらすという点で、まだまだ発展の余地が大きく残されています。
開発者は日々の業務における柔軟性を重視しており、私たちが提供する実践的で楽しいセキュアコーディングトレーニングやワークフロー統合は、そうしたエンドユーザーを念頭に置いて設計されています。ツールは直感的に使える「ピックアップ&プレイ」であるべきで、トレーニングは面倒な作業ではなく価値あるものとして認識されるべきです。サイバーセキュリティという広大なフィールドにおいて、攻撃と防御の多岐にわたる領域でイノベーションを起こす好機が到来しています。たとえ全員が自宅にいたとしても、DevSecOpsのようなセキュリティファーストの手法は十分に機能します。重要なのはコラボレーションであり、チームの各メンバーが物理的な場所に縛られず効果的に仕事ができるよう、考え抜かれたツールスイートを提供することです。
必要な時に(あるいは気分転換したい時に)トレーニングを
柔軟な働き方の利点の一つは、在宅勤務の日に通勤時間がなくなることです。人によっては、1日あたり約2時間の質の高い集中時間を確保できるかもしれません。理想を言えば、すべてのスタッフが通常の勤務時間内に学習しスキルを磨く時間を持つべきであり、適切なリモート環境があれば、これをより容易に実現できます。さらなる学習を通じて挑戦し、サポートされていると感じるリモートワークのスター社員たちにとって、これは大きなメリットとなります。
サイバーセキュリティの状況が刻一刻と変化する中、組織に影響を及ぼす可能性のある脅威に対応するためには、頻繁なトレーニングが不可欠です。ビジネスのニーズに合わせてカスタマイズされた、包括的かつ測定可能なトレーニングは、正しい方向への大きな一歩となります。これらはSecure Code Warriorプラットフォームを設計する際の核となる要素でした。私たちは、ユーザーが選択した開発言語やフレームワークで、必要な時に、どこからでもアクセスできるトレーニングを目指したのです。
開発者とセキュリティの関係はしばしば緊張を伴うものであり、多くの面で、彼らがセキュリティのベストプラクティスに適切に取り組めるような十分な配慮がなされてきませんでした。オンデマンドのゲーミフィケーションを取り入れたトレーニングは、場所を問わず彼らの意欲を引き出す助けとなります。これは、オフショアチームやベンダーが組織のソフトウェアに関与する際、十分なセキュリティ意識を確実に持つためにも不可欠です。
組織(そして彼ら自身のキャリア)に役立つトレーニングを通じてチームのエンゲージメントを高め、スキルアップを促すことは、最も優秀で忠実な人材を維持するための非常に効果的な接着剤となります。サイバーセキュリティ人材が慢性的に不足している現在、これは絶対に必要なことなのです。
リモートワークは、エンパワーメント、生産性、そしてセキュリティを両立できます
「生産性を高めるには、9時から17時までオフィスにいる必要がある」というのは、いささか旧態依然とした考え方です。それにもかかわらず、多くの企業(中には新進気鋭の企業でさえも)が、依然としてこの考え方に縛られています。そこには自社の従業員に対する根深い不信感があり、在宅勤務という言葉を聞いただけで、チームメンバーが仕事もせずに下着姿でゲームをしている光景を想像してしまうかのようです。
あるいは単に、本格的なリモートワークに踏み切れていないだけなのかもしれません。
もちろん、チームメンバーは成果を示すことで、自宅でも生産性を維持できることを証明する必要があります。しかし、オフィスから離れた環境で成功を収めるためには、会社側が最大限のサポートを提供しなければなりません。まずは自問してみてください。
- 適切なハードウェアは支給されていますか?
- 以前お話しした優れたコミュニケーションツールを、実際に導入していますか?
- すべてのマネージャーがチームとデジタル上でつながり、定期的なスタンドアップミーティングを通じて状況を把握できていますか?
- プロジェクトを追跡し、各メンバーに方向性や目標を与え、タスク完了時に達成感を感じられるような生産性向上ツールを検討しましたか?
現在の状況下で、多くの企業が「リモートワークへの移行」か「全面的な事業停止」かの決断を迫られました。リモートワークを選択した企業の中には、十分な準備ができていなかったところもあり、解決すべき課題が残っているかもしれません。しかし、ここで見過ごせないのは、こうした企業がセキュリティリスクにさらされている可能性が高いという事実です。
リモートワーク環境におけるセキュリティ上の失態を防ぐ
考慮すべき脅威ベクトルはいくつか存在します。スタッフは個人のネットワークを使用している可能性が高く、社内アカウントへのアクセスにさまざまなデバイスを使用している場合、それぞれのデバイスに必要なセキュリティ対策が講じられているとは限らないからです。
リモートワークでは、ただでさえログインやシステム設定の管理に追われる中、メールの量も増えがちです。社内のセキュリティ管理が行き届かないデバイスが混在する環境では、ソーシャルエンジニアリング攻撃やマルウェアの侵入を許してしまうリスクが非常に高まります。だからといってリモートワークを諦める必要はありません。これは、実践を通じて学び、将来に向けてより強固な体制を築く絶好の機会です。セキュリティを重視する組織であれば、プロセスを見直し、自社のセキュリティベストプラクティスを自ら実践する良い機会となるでしょう。
失態といえば、リモートワーク環境における潜在的な脅威を評価することも重要です。もっとも、その脅威は主にあなたのプライドに向けられたものですが。この気の毒なカップルのように。教訓:ビデオ通話中は、必ずズボンを履いていることを確認しましょう。
危機的状況下でもサイバー攻撃は止まらない
世界中でCOVID-19の影響を目の当たりにするのは非常に辛いことです。今こそ、私たちは団結し、この世界的な健康危機において互いに配慮し合う必要があります。しかし、攻撃者はこの広がる恐怖と混乱に積極的に付け込んでいます。生活のために必死なのかもしれませんが、社会全体が非常に脆弱になっている今、私たちは注意が必要です。
医療機関は、ワクチン試験センターを含め、ランサムウェアやDDoS攻撃の標的となっています。さらに、多忙を極める金融機関や政府機関を狙ったフィッシングやマルウェア攻撃も横行しています。ワクチンを巡る脅威も深刻です。トランプ政権がドイツの企業に対し、COVID-19ワクチンを米国が独占的に使用できるよう開発するために巨額の資金を提示したと報じられました。ワクチンのデータは現在、世界で最も価値のある情報の一つであり、攻撃者にとって非常に魅力的な標的となっています。
これは、物理的なウイルスの脅威から身を守る一方で、私たちのデジタルの心臓部も攻撃にさらされているという、あまりにもタイムリーな警告です。セキュリティ意識はあらゆる組織において極めて重要であり、すべてのレベルで適切なトレーニングを提供する必要があります。パスワード管理ツールの使用義務化や、フィッシングメールの見分け方を学ぶといった対策も有効です。
開発者は、ビジネスで生成されるコードを保護する最前線の防衛線です。彼らはAppSecチームと連携し、一般的な脆弱性によって生じるバックドアを塞ぐことで、サイバー攻撃による被害を最小限に抑える貴重な資産となり得ます。
デジタルイノベーションを推進する企業は、大きな嵐を乗り越えられる
大規模なロックダウンの非常に不幸な副産物は経済の低迷であり、打撃を受けたセクターでは多くの人が職を失いました。これはすべて突然の出来事であり、私たちの多くがこれまでの人生で経験したことのない事態です。
すべてのデジタルネイティブ企業が不況に強いわけではありませんが、デジタルを主戦場とする企業は、その性質上、想定外の事態が発生した際にも、より俊敏で適応力があり、持続可能性が高い傾向にあります。
当社はリモートワークで効率的かつ効果的に運営されており、これは大切なチームとクライアントを守るための新たな保護層となっています。私たちは、実践的で安全なコードトレーニングは現代のビジネスに不可欠であると考えており、ご依頼があれば必要に応じて柔軟に対応いたします。製品やサービスの性質上、同じような柔軟性を持てない企業も多いでしょう。しかし、伝統的な分野であっても、プロセスのデジタル化や将来を見据えたオンデマンド化を検討することで、思いがけないプラスの効果が得られるかもしれません。
新しいつながり方を見つけることは、障害ではなく、前向きな挑戦です
少し大げさに聞こえるかもしれませんが、『ジュラシック・パーク』のイアン・マルコム博士の有名なセリフ「生命は道を見つける」を思い出します。まさにその通りで、全社的なリモートワークへの移行において、それが如実に表れています。これまであまり交流のなかったチーム同士が、気軽な雑談やオンラインゲーム、共有のSpotifyプレイリストを通じて共通の関心事を見出しています。有意義な関係を築く方法は必ずあります。チームが自発的に模索し、成長していくのを見守るのが一番です。
クライアントの皆様が、リモートワークの混乱にも負けず、開発者のセキュアコーディングスキル向上に尽力されている姿は素晴らしいものです。当社のトーナメント機能をご活用いただいていますが、通常は対面で盛り上がるこのイベントも、バーチャル開催に切り替えることで、健全なエンゲージメントと友好的な競争を生み出し、孤独になりがちな日々の業務の良い(そして生産的な)気分転換となっています。ビデオゲームがかつてよりも社交的なイベントになったように、こうした研修は教材だけでなく、仲間とのつながりも深めてくれます。しかも、場所を問わず誰でも参加可能です。セキュリティオタクのひいき目かもしれませんが、今こそ開発者にセキュアコーディングの楽しさを伝える絶好の機会です。彼らは皆、未来のセキュリティ・スーパーヒーローです。最高に楽しい方法で、最前線を強化しましょう。
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